第10回 資料調査(in東京・立川)
一昨日・昨日と学芸部は東京出張に。一昨日は終了した企画展で他機関から借用した資料の返却。そして昨日は東京立川にある国文学研究資料館へ。吉野作造の直筆の手紙(書簡)の調査・閲覧です。

吉野作造が書いた手紙、あるいは吉野作造へ送られた手紙はそれなりの数が残っています。
まとまった形で書き起こし(翻刻)が公開されているのは、まず『吉野作造選集』の別巻(1997年)で105通。次いで吉野作造記念館研究紀要創刊号(2004年)で23通。
その後は新しい手紙を発見次第、当館研究紀要『吉野作造研究』で可能なものから順次翻刻を掲載しています。
書簡資料の場合、手紙の内容が吉野作造の思想や事跡を考える上で重要な場合もありますが、それとは別に日常の暮らしの様子が分かるものもあります。お見舞いやお礼状、季節の挨拶といった類いのものです。現在ならメールで済ませるような簡単な要件のものもあります。そうした手紙も吉野作造の交友関係や人となりを考える上ではとても重要になります。
ところで資料調査をするといつも思うのですが、メールやインターネットを介したやり取りが当たり前になった現在は、100年後の研究者からどのように調査されるのでしょうか。廃棄されたサーバーを発掘する、とか・・・?
和紙に筆で書いた手紙は展示すると味わいがありますが、サーバーを展示してもつまらないですし。明治・大正は博物館に親切な時代なのかも知れません。