第18回 常設展示リニューアル
先日6月4日(火)に常設展示資料をリニューアルしましたので、一部をご紹介します。

常設展示入口前のハイケースは、長らく展示していた吉野作造書軸「人世に逆境はない」から、同じく書軸「寛而有制従容以和」に交替。「寛而有制従容以和」の言葉は『書経』君陳篇にある一節で、署名は吉野のペンネーム「古川学人」。自由と秩序を重んじる吉野らしい書です。
なおハイケース下は、鈴木文治宛吉野作造書簡(1899年〈明治32〉7月21日、複製)です。

常設展示室に入って手前にある長ケース。入替前までは「吉野作造と明治文化研究」コーナーでしたが、今回は「吉野作造と故郷の人びと/吉野作造の原稿」コーナーに。郷土関係の資料と、新収蔵の自筆原稿を公開しています。

手前長ケースから。左は佐々木源六宛吉野作造書簡(1926年〈大正15〉 9月27日)。実家を継いだ義兄・和平がお世話になっていますと挨拶する内容。お手紙の宛先になっている佐々木源六は、古川で薬種商を営んでいた人物です。

同じく手前長ケースから、新収蔵の吉野作造自筆原稿「クルランボオ」。雑誌『文化生活』 1922年(大正11)3月に掲載されました。ロマン・ロランの小説「クレランボー」に対する感想を述べたもの。吉野が読んだのは大佛次郎による翻訳です。
なお、このコラム(第8回)でも紹介した自筆原稿「小弱者の意気」「現今労働運動に対する私の立場」も公開しています。
今回は常設展示資料の7~8割ほどを入れ替えました。上記以外にも新しいものをご覧頂けます。もうすぐ梅雨なのでしょうか、天気がはっきりしない日が続きますが、みなさまぜひご来館ください。